(株)スードリーの活動について

平成30年5月に、私が代表を務めていた「スードリー」を株式会社化して、新たに「gui(グイ)」という移動花屋を始めました。これは様々な場所に出店する花屋であり、この活動が会社のメイン事業になります。

「テレビ朝日アナウンサー」から「フラワーアーティスト」に転身したきっかけ

当時、周りを見渡すと、大学を卒業して、就職して同じ会社に勤めている人が大半で、転職する人はほとんどいませんでした。周りからは、花屋をやるのはもったいないと言われたりもしましたけど、花や緑が子どもの頃から大好きだったので、それを仕事にできたらとてもかっこいいなと思っていました。働きながら、少しずつ花に触れることで、その想いがどんどん増していき、そして、10年間勤務したテレビ局を退職し、フラワーアーティストを目指すことにしました。

転身する時に苦労したことは

苦労したことはたくさんあります。企業に10年間勤めて、いろんなキャリアを積んでいたので、多少の自信があったのですが、いざ花屋で働いてみると簡単な梱包一つうまくできなかったり、レジや請求書の出し方、領収書の発行の仕方など細かいところまで、知らないことで溢れていました。また、新しいスキルを身に付けるという点でも、花のノウハウや花を長く生かす技術や方法など、常に勉強が必要でしたし、先輩に怒られながら、お客様に注意されながら、日々業務をしていました。さらに、冬は手がすごく荒れます。全ての指があかぎれになるくらい荒れて、とても痛い思いもしました。人から見たら綺麗な格好をしてテレビに出ているアナウンサーの方がやりがいがあって、花屋は、雑用にまみれた下働き仕事で大変に思われそうですが、私は、それが自分らしくて楽しいと思えました。

現在の活動での「やりがい」について

自然に憧れを持ってこの世界に入ったので、花に触れている瞬間は本当に幸せです。また、今は「gui(グイ)」という移動花屋で、いろんな方々にお花を届けられるようになったので、お客様の顔を見て花を渡した時に、笑顔になってくれたり、楽しそうに花を選ばれたりする横顔をみていると、この仕事を選んでよかったなと感じます。

スードリーの活動やプライベートで心掛けていること

スードリーの活動としては、「ぬくもり」を大切にすることを心掛けています。また、花を選ぶところから「体験」してもらうということもとても大事にしています。移動花屋を始めたのも、いろんな人に選んで買ったという全てを体験してほしかったからです。あと、メールのやりとりもスタッフに厳しく指導しています。機械が送ったようなメールではなく、自分が大切に思っている人に書くようなメールを書いて欲しいと思っています。
プライベート面については、家族で鎌倉に引っ越したのですが、2歳になる子どもに、自然と文化を伝えられるような子育てをしたいなと思っています。すごく豊かな自然が鎌倉には残っていると思います。夜にふと空を見上げると流れ星がながれていたりとか、初夏にはホタルがいたりとか、自分が子どもの頃よりもたくさんの自然が身近にあります。私自身がそういった環境が恋しい子どもだったので、自分が得られなかった自然を息子に感じてほしいなと思っています。

スードリーの活動やプライベートでの夢

一番大きな夢は、私が100歳のおばあちゃんになるころに、「都会の人にとって、当たり前に花と緑が身近にある」世界をみるということです。自分がアナウンサー時代には、本当に忙しくて、自然に触れる機会はそんなに持たずに生きていました。だけど、一輪の花を玄関に飾ったところから全てが変わっていきました。今でも都会で自然を感じられないと思って、どこか息苦しさを感じている人はたくさんいると思っています。そういった方々に自分の活動を通して、たくさんの花を届けて、その人達の暮らし自体が変わるような取組みをしていきたいと思っています。

プライベートの夢はたくさんあります。もう少し息子が大きくなってきたら、地域の文化をもっと伝えていきたいなと思っています。そして、息子が大きくなって、自分の生活圏である鎌倉の外に出たときに、日本の文化を知っていて、しっかりとアイデンティティを持っていると感じてもらえるような子育てをしてきたいです。また、私も息子とともに学んで成長していきたいなと思っています。

新たな一歩を踏み出すためには

自分の好きなことを「小さく始める」ということが大事な一歩になると思います。私も、一輪の花を飾ったところから、楽しいという気持ちが増していって、二輪、三輪になり、習いに行きとステップアップしていきました。最初の一歩は小さくていいと思います。例えば、何かやりたいことがあるのであれば、週末にちょっと触れられるようなことをしてみたり、ちょっとお友達を集めて教えてみたりとか、興味があることに少しでもいいから触れ続けて、自分の好きが何かということについて向き合って考えることが大事かなと思います。その結果として、転職しなくても今の仕事をしながら好きなことをやるという生き方も素敵だと思います。その人それぞれの自分らしさというものを、好きと向き合うことで絶対に見つけられると思うので、まずは自分の好きに触れる時間を増やすことが大事だと思います。

最後にみなさんへのメッセージ

20代の頃、人生なんて、仕事なんてこんなもんだと知ったつもりになっていたところがありましたが、仕事を辞めて、やりたいことをやってみると、人生が一変しました。自分で決めつけていたものは、全然違う面を持っていて、全然違う世界が身近にあることに気づきました。世の中の考え方とか人の意見とかで決めていたものを一度取っ払って、自分はどうしたいかという自分軸で、考えたり行動したりすることで、ワクワクするものに必ず出会えると思うので、冒険する心を大切にしてください。

前田有紀
10年間、テレビ局でアナウンサーとして勤務した後、2013年にイギリスに留学。コッツウォルズ・グロスターシャ―州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで2年半の修業を積む。その後、「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いから、株式会社「SUDELEY(スードリー)」を立ち上げ、イベントやウェディングの装花や作品制作など、様々な空間での花のあり方を提案する。

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